箸の歴史・起源について正確な年月や事由を確定する事は不可能であり、様々な諸説があります。
[世界における起源]
最も古い箸といわれるのが中国の殷王朝の都「殷虚」から発掘された青銅製のものと考えられている。 これは儀礼用に使用されていたようである。 |
[日本における起源]
中国より伝来されたとされる説では、欽明天皇(552年)の代に百済の聖明王から仏像や経論などと共に形式的な食器類が伝わったとされるもので、昭和38年平城宮跡より食器に混じり数百膳の杉・桧製の箸が発掘されている。
また同時に発見された出土品から推測してこれらの箸は奈良時代中期以前と思われ、奈良朝時代には二本棒の箸が普及されていたと考えられる。
これは推古天皇(607)が小野妹子を中国(随)に派遣した時(遣随使)、随使と共に持ちかえった作法である。
この時代では日本はいまだ手食であり、中国の食事作法を真似て宮中で初めて正式な箸食作法を行ったとされる。 |
[日本における箸と食文化の歴史]
無土器時代 BC7500以前 | |
打製石器の発見 | |
縄文時代 BC7500〜300 | |
土偶や土器や木製品の他に石製のナイフ、動物の骨で作られた道具が発見される。 |
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弥生時代 BC300〜AD250 | |
BC200前後には水稲農業が始められる。日本は近隣の外国と交流を持ち始める。 |
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古墳時代 AD250〜556 | |
前期では稲作が発達。鉄製の鋤・鎌・馬鍬・斧等の農機具が使用される。 主に使われる。 古事記の須佐之男命の話で箸が登場する。 |
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飛鳥・奈良時代 AD556〜794 | |
仏教の伝来など中国文化の影響を強く受ける。 大化の改新による天皇集権国家の成立で貴族と一般庶民との格差が広がる。 食生活でも庶民は雑穀が日常食なのに対し貴族は米食となり、箸と匙の組み合わせで食事をする。 奈良県の正倉院の御物に匙や挟子(ピンセット型の箸)が発見される。
平城宮跡より食器に混じり数百膳の杉・桧製の箸が発掘される。 |
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平安時代 AD794〜1192 | |
初期は前時代同様だったが、藤原氏の時代では生活は日本化される。貴族指導型の生活様式となり、 食文化も実用本位から典礼化され、宮廷儀式用に銀製の箸・匙、柳箸等が用いられるようになる。 861年(貞観3年)箸商人の祖「白箸の翁」が伝えられる。 農業生産種類が増え、陶器もロクロをまわして作られるようになる。 日本料理の基本成形が進む。 |
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鎌倉時代 AD1192〜1333 | |
貴族中心主義から武家の支配へ変化。生活は華美から質素へ実用的。合理的に進展。 職業として調理師が現れ日本料理の形式的基礎が作られる。 |
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室町時代 AD1333〜1573 | |
食事は中国式から日本式に転換される。そして、懐石料理の登場により料理の形式化、流派が誕生
(四条流・大草流・進士流)した。また身分を問わず、貴族的食事が一般化。 |
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安土桃山時代 AD1573〜1603 | |
料理の流儀が一般化する。調味料の醤油をつかった料理も作られるようになる。 日本料理がほぼ確立される。 鎌倉時代からの武家三食が広がり白米食が一般化される。わびさびをもって奥義とされる茶道が完成。 懐石料理で杉・桧製の箸が 使われるようになる。 |
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江戸時代 AD1603〜1867 | |
ここで日本料理は一つの完成を迎える。士農工商で食事も区別される。 育つ。中期になるとそばや・鰻家などの外食産業が広がり、樽などの余った材料で割り箸が作られる ようになる。 |
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明治・大正・昭和 AD1867〜 | |
鎖国によって取り残された日本に欧米文化が伝わる。牛肉等の肉食が広がり、スプーン・ナイフ・ フォークが使われるようになる。
工業が発達しあらゆる製品が一般に供給され始める。 |