箸の種類

 家庭で食事をいただく際また外食した時、割箸の形を意識してお使いになったことがあるでしょうか?。

  箸といっても色々な形があります。   同じ形でも木の材質が違うものなど、その数は実に100種類を越えます。

  普段、何気なく使っている割箸ですが、その一膳一膳に様々な用途、意味合いがあります。

 丁六箸

 丁六箸は箸全体に角があり頭部の形が長方形で、質素なものです。

  箸の長さは他のものに比べ短く、普通お弁当用(コンビニ弁当などに使用)として使われます。時には使いずらいかもしれません。

 

小判箸

 小判箸は頭部の形が小判に似ていることから名付けられました。割箸としては低級で、立ち食いそば屋などで使われる事が多いです。

 

元禄箸

 元禄箸は4つの角を削り、割れ目に溝を付けて割りやすく加工したものです。正式には「元禄小判」と称して明治20年ごろ奈良県吉野郡下市にて考案されました。この名称の由来は、元禄時代に江戸幕府が財政立て直しの窮余の一策として、金の含有量を減らし貨幣を改悪した小判を「元禄小判」と呼びました。これと同様に、箸の4つ角をとり、溝をつけて木の分量を減らした事からこのように名付けられました。

 

天削箸

 天削箸は頭部を大きく斜めにカットし、ヘラのような形に削り、溝を付けず先端のみ面を取ったものです。大正5年頃に奈良県吉野郡下市にて考案されました。この箸の特徴である天を削いだ形は日本の神社の屋根にそびえる千木を形どっており利久箸と同じく、天の恵みを受けて神との共食を象徴しています。材質を吉野杉でできたものを高級品として、利久箸と共にハレの箸の略式として用いられますが、現在では高級料亭などでも使われています。

 

利久箸

 この利久箸の考案者は茶道の名人の「千利休」とされ、そのため「利久箸」と名付けられました。しかし「利休」ではなく「利久」としたのは、商いをする人間が「利を休む」ことはいけないと「利久箸」としました。形は従来の松葉型の箸をもとに両方の端を細く削って左右対称の形の「両口」の箸にしたもので、1膳の箸の形が2本仲良くついており仲の良い夫婦の様なので「夫婦利久」とも呼ばれていました。

 

らんちゅう

 利久箸が初めから割れているものを「らんちゅう」又は「バラ利久箸」といいます。
名称の由来は、金魚に「ランチュウ」というお腹が大きい種があり、形が似ているように見えたので名付けられました。片側が精進物、もう一方がなま物用に使用されます。また昔には片方に神様が宿り、もう片方で私達人間が天の恵みである食物をいただくことで、神様と同じ食事を共にしていると考えられていました。箸の中では高級品であり特におめでたい「ハレの日」などにお使いして頂きたい箸です。

 

片口利久箸

 らんちゅう・バラ利久箸の片方を削らないでカットしたものです。両口に対して片方しか口につけられないので片口と呼ばれます。神様がお使いになる「端」がなく、自分の口にのみ食物を運ぶ「箸」で普段使いなど「ケの箸」として使われます。