私達日本人は食作法のうえで、「箸の上げ下げにも心しなさい」と教えられます。
楽しく食事をするうえで、見苦しくない箸使いをすることも作法の一つでしょう。
箸使いにいくつものタブーがあるのでご紹介します。
迷い箸 |
どの料理を食べようかと迷い、料理の上をあちこちと箸を動かす。 (なまじ箸ともいう) |
握り箸 |
初歩的な持ち方であり、箸の機能は果たしにくい。 食事の途中で握り箸にすると、これは攻撃を意味することになる。 |
持ち箸 | 箸を持ったまま、他の食器を持つ |
探り箸 | 食器の汁物などをかき混ぜて、中身を探る。 |
空箸 |
箸を一度料理につけておきながら、食べないで箸を置く。 (出した側に不信感を抱かせる) |
受け箸 | 箸を持ったまま、お変わりをする。 |
刺し箸 | 箸を料理に突き刺して食べる。 |
涙箸 | 箸の先から汁をぽたぽたと落とす。 |
ねぶり箸 | お箸についたものを口でなめてとる。 |
横箸 | 二本の箸を揃えてスプーンのようにして料理をすくいあげる。 |
かき箸 | 食器の縁に口を当てて、料理を箸でかき込む。 |
込み箸 | 口に頬ばったものを箸で奥へ押し込む。 |
かみ箸 | 箸先を噛む。 |
もぎ箸 | 口の中のものを箸先でもぎ取る。 |
振り箸 | 箸先についた汁などを振り落とす。 |
落とし箸 | 食事中に箸を床に落とす。 |
洗い箸 | 食器の中で箸を洗う。 |
たたき箸 |
給仕さんを呼ぶ時に、食器やテーブルを箸で叩いて合図する。 これは昔から「茶碗を叩くと餓鬼が来る」といわれ、悪霊を招く行為とされている。 |
寄せ箸 | 食器を箸で手前に引き寄せる。 |
渡し箸 | 食事の途中で箸を食器の上に渡し置く。これは「もう要りません」という意味になる。 |
指し箸 | 食事中に箸で人を指すこと。 |
せせり箸 | いろんな料理をほじくり返すことから、箸を爪楊枝代わりに歯をせせる。 |
くわえ箸 | 箸を下に置かずに、口にくわえたまま、手で食器を持つ。 |
膳ごし | 膳の向かいにある料理を、手で取り上げないで箸で取る。 |
かき箸 | 箸で頭をかく。 |
直箸 |
「取箸」を使わずに、自分の箸で料理を取り分けたり、 同席者に取ってあげたりすることは、日本では不浄とされている。 (中国・朝鮮半島では直箸は友好の証となる) |
すかし箸 |
骨の付いた魚の上側を食べた後、魚をひっくり返さずに、 骨越しに裏側の身をつついて食べること。 |
立て箸 |
仏箸ともいわれ、これは死者の枕元に供える枕御飯であり、 脇の者が食べてはいけないことを 意味している。 (一本の場合もある) |
拝み箸 | 両手で箸をはさみ、拝むようにする。 |
箸渡し |
箸をはさみ上げた料理を別の箸で取ったり、 箸と箸で食べ物のやりとりをする |
二人箸 | 食器の上で二人一緒に同じ料理をはさむ。 |
違い箸 | 異質の箸、木と竹の箸を一対にして使う |
このように、箸がいかに私達日本人にとって身近な存在であり、かつ神聖視されていたかわかります。